研究課題
若手研究(A)
組織や器官の形成において、細胞がある特定の時期に特定の場所へと移動し接着することが重要である。一方、がん細胞の浸潤・転移や神経ネットワーク形成の異常による神経疾患など、細胞の接着・運動は疾患とも深く関連があり、このような疾患の治療において、細胞の接着・運動をコントロールする仕組みを解明し、その仕組みに関わる分子をターゲットとした治療法を確立することが重要であると考えられる。今年度の研究では、運動系神経回路形成における新たな分子メカニズムを見出したので報告する。我々の手足の動きは運動皮質から脊髄へと投射される神経回路によって制御されている。そこではエフリンB3とその受容体EphA4が作用することで神経軸索の反発作用が働き、軸索が脊髄の正中線を超えることを防いでいる。そのため我々は手足を別々に動かすことが出来るようになっている。この仕組みにおけるエフリンB3/EphA4の細胞内情報伝達において、EphA4受容体は低分子量G蛋白質Rac特異的GAPであるα-chimerinと結合し、その活性依存的にRacを不活性化することで脊髄正中線における反発作用を引き起こしていることを見出した。実際Racは神経軸索の伸長に必須であり、その活性を抑制することが軸索の反発作用には重要であることが明らかとなった。この成果は細胞の位置決定に重要なエフリンの作用メカニズムの解明に貢献したのみならず、脊髄損傷の再生医療研究においても重要な知見となると考えられます。
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