配分額 *注記 |
20,280千円 (直接経費: 15,600千円、間接経費: 4,680千円)
2007年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2006年度: 16,640千円 (直接経費: 12,800千円、間接経費: 3,840千円)
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研究概要 |
以前より,心臓血中の死後の薬物濃度の上昇は,診断を誤らせる可能性が有る。医療過誤の疑われる死亡例の増加する昨今,死後の血中薬物濃度の変化の機構,詳細を明らかとすることが急務となっている。そこで,ウサギを用いて,フレカイニドを中心として血中濃度変化機構の詳細な検討を行うとともに,その他の複数の薬物についての死後の血中薬物濃度変化量を検討した。 抗不整脈薬酢酸フレカイニドについての検討においては,死後,心臓血のpHは低下し,最も低くなったもので6.2であった。死後,心臓血中フレカイニド濃度は生前の抹消血と比較して最大8.1倍にまで上昇した。また左心血のフレカイニド濃度が右心血より高くなる傾向が認められた。さらに,心臓マッサージによ.り左心血中フレカイニド濃度が高くなる傾向が認められた。灌流実験によって,灌流液のpHを低下させると流出液中のフレカイニド濃度は上昇した。一方灌流液のpHを上昇させると,流出液中のフレカイニド濃度は低下した。以上の結果より,死後の心臓血中のフレカイニド濃度の上昇は,死後の血液のpHの低下によって引き起こされている事を明らかとすることができた。 さらに,覚せい剤(methamphetamine,pKa 10.1),バルビツール酸系薬物(phenobarbital,pKa 7.4),抗うつ薬(paroxetine,pKa 9.9)等について心臓血中の死後濃度変化を検討した結果,pKaの高い物質ほど死後の心臓血中濃度が高くなる傾向が認められるものの,例外的なものもあり,水-オクタノール分配係数等pKa以外のファクターとの総合的検討の必要性が明らかとなった。
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