研究概要 |
グループ鍵とは,特定の「グループ」に属するメンバだけが共通して持っている秘密情報である.グループ鍵を利用して情報の暗号化を行うことで,重要な情報へのアクセス制御等を比較的容易に実現することが可能となる.グループ鍵の管理における最大の技術課題は,グループメンバの加入・脱退に伴うグループ鍵の更新作業の効率化である.とくにメンバ数が膨大となる場合,各メンバに対して個別に新しい鍵を配布することは現実的でないため,スケーラビリティに優れた安全なグループ鍵管理方式が強く求められることとなる。LKH法は、インターネットにおけるマルチキャスト通信を念頭において設計されたグループ鍵管理方式である。LKH法では、鍵の更新を効率的に実現するため、グループメンバ、グループ鍵、グループ鍵管理情報等を木構造によって表現・管理する。LKH法の効率は、木構造のバランスに大きく依存する。木構造がうまくバランスしていれば比較的少ないオーバヘッドで鍵更新が可能であるが、木に偏りが生じてくると、鍵更新のオーバヘッドが必要以上に大きくなるという問題がある。これは、グループ鍵の長期運用において致命的な欠点であるといわざるを得ない。本研究では、鍵更新にともなう木構造の更新において、情報圧縮等でしばしば用いられるハフマン符号の構成アルゴリズムを利用し、情報管理用の木構造を常に最適に保つことの可能な鍵管理方式を開発した。開発手法の最適性について数学的な証明をあたえ、計算機模擬により、従来のLHK法と性能比較を行った。その結果、提案法は、鍵更新のオーバヘッドを長期に渡って最小化することが可能であることが明らかとなった。
|