研究概要 |
三角関数や対数関数などの数学関数を計算する数値計算回路の自動合成および設計検証システムの開発を目的とし,平成19年度は,以下のことを行った. 1.離散データ(座標データ),の補間・近似関数の自動合成:数学関数で定義されていない測定値などの離散データから数値計算回路を自動合成するために,本研究ではスプライン関数を用いて離散データを補間した.スプライン関数は,本研究で開発した数値計算回路で効率よく実装できる.山岳の標高データなどを用いた実験により,本数値計算回路は,離散データの高速な補間が可能であり,ソフトウェアでの実装に対しに50倍から70倍の性能が得られることを確認した.本年度の研究では,このような離散データから高性能数値計算回路を自動合成するツールの開発に成功した. 2.数値計算ソフト,高位合成ツールへの組み込み:数値計算回路の仕様は,しばしばMATLABなどの数値計算ソフトで記述されるため,本研究で開発した自動合成ツールを,まず数値計算ソフトへ組み込むことを検討した.しかし,実験の結果,予想以上に実行速度が遅く,数値計算ソフト上で実装することを断念した.そこで,数値計算ソフト上で記述された仕様を読み込むことができる独自のソフトウェアツールの開発に計画を変更した.計画を若干変更したが,本研究で開発した自動合成ツールを用いることで,仕様から実装までの全設計工程の自動化が可能になった.本合成ツールを国際会議などで発表したことが功を奏し,複数の海外企業から本ツールの使用依頼を受けた.現在,企業との共同研究を検討している.
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