研究概要 |
本研究で明らかにしたことは,以下の機能の実現である.これらの機能を申請者がこれまで開発してきた類似画像検索システムの機能として提案した. (1)抽象図形を対象に,ゲシュタルト心理学で明らかにされている図形の群化要因「近接」「類同」「閉合」「よい連続」の4つを測定するモデルを提案し,判別分析により図形内に存在する複数の群化領域を認識する手法を開発した. (2)抽象図形を対象に,複数名から採取した図形群化に関するアンケート結果より,ゲシュタルト心理学で明らかにされている図形の群化要因「平行性による類同」を測定するモデルを開発した. (3)スポーツ映像のメタ情報を抽出することを目的として,放送型野球中継映像を対象に,画像内のスコアテロップがイニングごとに規則的に変化することを利用し,同じイニング内のフレームを同一とみなす,つまり,1イニングごとで群化されるフレーム集合をクラスタリングする手法を開発し,(1)の動画像への適用可能性を検討した. (4)マンモグラフィ(乳房X線像)を対象に,画像内に点在する石灰化領域,また,それらが群化現象によりまとまって一つの領域に知覚される石灰化クラスタを検知する手法を提案し,(1)の医用画像への適用可能性を検討した. (5)風景写真(カラー画像)を対象に,ユーザが簡易な検索キーをラフペインティングして作成し,風景画像内の微妙に色や濃度が変化するグラデーション領域の全画素を同一画素値とみなして群化させることで検索キーとマッチングを行うインタラクティブな画像検索システムを試作し,(1)のカラー画像への適用可能性を検討した.
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