研究概要 |
本研究の目的は、ウェブページやXMLデータが無制限にネットワーク上を流れる大規模半構造データストリームから,有用な情報を効率よく獲得するオンライン型半構造情報抽出アルゴリズムの開発を行うことである.特に,本研究では,申請者らのこれまでの先行研究によってもたらされた,機械学習による情報抽出,パターン発見アルゴリズム,データ圧縮等の技術を援用することで,動的に変化する大規模半構造データに対して,限定された計算機資源のもとで高速かつ頑健なデータ抽出処理を実現するアルゴリズムの構築を目指す. 従来の機械学習による情報抽出の枠組みでは,アルゴリズムは与えられたデータから一般構造を発見して,ラッパー(抽出規則)を構築する.また,抽出アルゴリズムがラッパーと未知のデータをマッチングさせて適切なデータを取り出す.この方法では,データがHTMLのように単純な根付き木(Rooted Tree)で表現できる場合には,それほど多くの訓練例を必要とせず,また抽出規則も簡単な場合が多く,学習が容易である.しかしながら,この方法では,訓練例が動的に変化する場合には学習をもう一度最初からやり直さなければならず,また,XMLデータのように,より複雑なデータ構造(DAG:Directed Acyclic Graph)が対象となると,学習そのものが困難となる. 今年度は,前年度までに得られた基本的なアルゴリズムをより大規模なデータに対して実現し,その性能を他のアルゴリズムと比較を行った.その結果,本研究のアルゴリズムは,多種法よりも数十から数百倍の高速化を達成した.この成果によって,本研究は第18回データ工学ワークショップにおいて優秀論文賞を受賞した.
|