研究概要 |
技術進歩に伴って,多くの洗練された写真編修ソフトウェアとコンピュータグラフィックスソフトウェアが開発され,それらによってディジタル画像の生成や操作が簡単になっている.そのためディジタルコンテンツの正当性を保障することが困難である.法廷,犯罪調査,保険,金融,報道などでディジタルコンテンツを利用するためには正当であると証明する必要がある. 画像の偽造手段にはいくつかの種類がある.例えば.合成,モーフィング,複写やリタッチ,強調,コンピュータによる画像の生成などである。異なる偽造手段は現画像に異なる意味がもたらされる。本研究では、複写と合成による偽造を検出する手法を提案する。我々はこれまでに複写を検出するためのKernel Principal Component Analysis(KPCA)とDiscrete waveletに基づいた二つの特徴表現スキーマを提案している.複数の複写領域を用いたBMPデータセットによる実験ではPCA(60.93%,67.62%)とKPCA(56.46%,47.5%)を用いた場合より,wavelet(62.16%,67.62%)を用いた場合の方が高い再現率および適合率を示した.ノイズの多い(SNR : 20 DB to 50 DB)データ,およびJPEG方式で圧縮した(Quality factor : 50% to 100%)データによる実験においてもwavelet-featureがもっとも高い適合率(84.09%,77.84%)を示した.それに対して,再現率についてはKPCAがもっと高い数値(30.64覧%,28.4%)を示した. また,我々は複写による偽造を検出するためのLocal Contrast Patterns(LCP)ヒストグラムを用いた手法も提案している.マルチスケールframeworkでedge-based LCP, surface-based LCP, gradient-based LCPについて検証した。 Columbia splicingデータセットに対するFisherの線形判別機を用いた実験では,derivative-based LCPヒストグラム(62.74%)を用いた場合の方が,従来のwavelet特徴(61.43%)を用いた場合より検出精度が向上した.この実験で用いたマルチスケールframeworkは0.5octave間隔の四つのスケールで構成した.今後は,マルチスケールframeworkのスケール設定を調整することにより分類精度の向上が期待される.
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