研究概要 |
一般的な人間の生活環境下で作業を遂行するロボットには,多自由度かつ,ドア等の力学的拘束のある物体のハンドリングを行ったり,稼働中の周囲環境との予期しない接触等に対して柔軟に対応できる能力が必要である.このような力学的干渉を伴う作業を実現するためには,全身に動的な"しなやかさ"を持つロボットが必要である.平成18年度はこのようなコンパクトかつ"しなやかさ"を持つロボットを構成するためのハードウェアの開発を行った.開発したハードウェアは分散型小型モータコントローラと複数のモータコントローラを統合する小型ローカルコントローラである.開発したモータコントローラはFPGAを用い,電流からDCモータを用いたアクチュエータの出力トルクを計測・制御可能である.実際に設計,試作したハードウェアに対して性能確認を行い,PWM駆動の確認およびPWM駆動時の計測電流値の直線性を確認した.しかしながら,従来の通信プロトコルでは通信の容量および信頼性において不足が認められたため,今後これらの問題点を解決するために改良型の通信プロトコルの設計を行う.また,本モータコントローラを用いた場合のアクチュエータ全体の性能を確認するため,モータ制御性能を確認するための計測装置を新たに製作した.本計測装置は高分解能エンコーダ,パウダブレーキ,トルクセンサから構成され,モータの静特性だけでなく動特性をも計測可能とするものである.今後はこれまでに試作したハードウェアを用いて,通信プロトコルおよび電流制御を行うためのソフトウェアの開発,アクチュエータ全体での性能の確認を行ない,更に複数アクチュエータを用いたシステムへの動力学適用の問題を扱っていく.
|