研究概要 |
本研究では,人とロボットが共生する社会において,温かな印象を人に与え,生命感を持ち,人に飽きられることなく,人にとってかけがえのない存在となりうるロボット(コンパニオンロボット)の実現を目指している.最終年度である本年度は,人の行動を詳細に分析し,人の行動をモデルとしロボットの行動生成を試みた.以下にその概要を示す. 1.ネットワーク接続した2つのPCを用い,10人に対し人と人の行動分析を行った.その結果,行動は,"追い・逃げ"のように相手の動きに依存する「インタラクティブ行動」と,"カドに行く"のような相手の動きから独立した「非インタラクティブ行動」およびそれらの両方の可能性を含む「無行動」があり,それらの行動出現回数の割合は,10:3:2の割合であることが分かった. 2.被験者との相対速度を1/1.52,1/1.5,1,1.5,1.52に取った場合の印象評価を行った結果,1/1.5の場合に人は最も「癒やされ」,1.5の場合に最も「飽きない」ということが分かった. 3.以上の結果を踏まえ,行動出現確率,および速度を1/1.5と設定し実験を行ったところ,全体として人対人の印象と類似しており,「複雑さ」,「飽きのこなさ」,「愛着」,「人なっっこさ」,「積極性」,「もう一度やりたい」の項目において,人対人の場合よりも良い印象をもたれることが分かった. 4.実機の製作を終え,ロボット動作確認を行った。その結果,シミュレーションと比較すると多少左右に振動しながらではあるが,全方向に移動可能であることが確認できた.またカメラ,ジャイロ,タッチセンサ,およびレーザレンジファインダの動作確認を終えた.今後,実機をとおした実験をとおして,本研究で得られた知見の検証を行っていく予定である.
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