研究課題/領域番号 |
18700351
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経解剖学・神経病理学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
王 華芹 京大, 医学(系)研究科(研究院), 助手 (50391884)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2008
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2007年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2006年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | AR-JP / パーキン / パエル受容体 / 小胞体ストレス / 酸化的ストレス |
研究概要 |
常染色体劣性若年性パーキンソン病(AR-JP)の原因遺伝子産物Parkinは、細胞内タンパク質の分解にかかわるユビキチン・プロテアソーム経路のユビキチンリガーゼ(E3)の活性を持ち、AR-JPに見られる変異体ではユビキチンリガーゼ活性が欠失または低下している。このことは、Parkinによって本来分解されるべき基質の神経細胞への蓄積がAR-JPの原因であることを強く示唆している。我々がParkinの基質として同定した膜タンパク質Pael-Rは神経系培養細胞内で過剰発現させると、高度なユビキチン化とともに細胞死が観察される。この原因はPael-Rが折り畳み効率の低いタンパク質であり、折り畳みに失敗したミスフォールド化Pael-Rは小胞体関連分解(ERAD)で分解されるものの、発現量がERADの処理能力を超えると、小胞体及び細胞質に蓄積し小胞体ストレスを引き起こしてアポトーシスを生じさせるからであると考えられる。パーキンソン病モデルマウスを作出する目的で、Pael-Rトランスジェニックマウス(Pael-R-Tg)を作製した。Pael-R Tgでは軽度ながら、12ヶ月から選択的に黒質ドーパミンニューロンの脱落が認め、2年齢のマウスでは約23%の減少が観察された。更にparkinノックアウトマウス(parkin-KO)にPael-R過剰発現マウスを掛け合わせたparkin-KO/Pael-R-Tgマウスでは6ヶ月からドーパミン神経細胞の減少が認められ、加齢に伴って細胞死の進行が観察された。ドーパミン細胞死は老齢(2年齢)のマウスで約40%に達した。このモデルは慢性的なドーパミンニューロン選択的変性を示す最初の家族性PDモデルマウスとなり、PD病態の解明に貢献しうるものと考える。このモデルマウスを用いて、ドーパミン神経変性のメカニズムを探るところで、このモデルマウスには持続的な小胞体ストレスのマーカー(Bip,CHOPなど)上昇及びカルボニル化タンパク質など酸化的ストレス指標の増加が見られた。以上の結果から、Pael-R Tgマウスにおけるドーパミン神経変性は、小胞体ストレス、酸化的ストレスが相乗的に作用して引き起こされるのではないかと示唆された。
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