研究概要 |
上腕二頭筋における等尺性ランプ状収縮時の筋音図は,ある%MVCで急峻に増大することが報告されており,この急峻な増大は速筋線維群の動員が一因となっていると考えられている。本研究の目的はこの現象を用いて「レジスタンストレーニングの評価を筋音図から行う手法」を開発することである。 本年度では昨年度に引き続き「等尺性ランプ状収縮時の上腕二頭筋の筋音図の振幅が急峻に増大する%MVCの確認」と新たに「レジスタンストレーニングによって等尺性ランプ状収縮時の上腕二頭筋の筋音図の振幅が急峻に増大する%MVCに変化が生じるのかの確認」の2つを行った。以下に具体的な成果を示す。 20代前半の健常成人男性9名における等尺性ランプ状収縮時(10から70%MVCまで5%MVC/s)の上腕二頭筋の筋音図を測定し,昨年度に測定した10名のデータを合わせた19名のデータから29±10(平均±標準偏差)%MVCで筋音図が急峻に増大することを確認した。 さらに,レジスタンストレーニングよって筋音図が急峻に増大する%MVCが変化するのかを確認するために,被験者1名に対して,レジスタンストレーニングとして肘関節の5秒間の最大努力性等尺性収縮を1分間の休憩を挟みながら5回行うことを週3回行い,このレジスタンストレーニング前後のランプ状収縮時(10から70%MVCまで5%MVC/s)の上腕二頭筋の筋音図を各4回,また,最大肘関節屈曲力を各5回測定した。レジスタンストレーニング後の最大肘関節屈曲力はレジスタンストレーニング前に比べて117%増加したが(p<0.05),筋音図が急峻に増大する%MVCの平均には有意な差(p>0.05)は生じなかった。
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