研究概要 |
#1下半身陽圧負荷心エコー法の基礎的検討 臨床的な目的で心臓カテーテル検査および左室造影(左室圧測定)を施行した心疾患患者10例において,下半身陽圧負荷中の,ミラー社製マイクロチップカテ先圧センター付きピッグテイルカテーテルを用いて左室圧を記録した.また,同時に心エコー・ドプラ法により僧帽弁口血流速波形を記録した.その結果,何れの例においても,下半身陽圧負荷により僧帽弁口血流速波形の拡張早期および心房収縮期波高が増大し,左室拡張末期圧が4±2mmHg上昇した. #2下半身陽圧負荷心エコー法による心房細動例における左室拡張機能の評価 慢性心房細動においては,僧帽弁口血流速波形および僧帽弁輪運動速波形の拡張早期波高の比(E/e')あるいはその開始時間の差(TE-e')が,血漿BNP値や,下半身陽圧負荷による前負荷増大に対する心反応性に関与することを報告した.下半身陽圧負荷に対する反応性をドプラ法により非侵襲的に観察することで,これまで困難であった心房細動例の左室拡張能が評価可能であると思われた. 洞調律の拡大不全心,肥大心における検討では,下半身陽圧負荷に対する心反応性(心拍出量が増大するか減少するか)は,左室拡張能のみならず,左房機能に影響されていることを,新しく開発した左房トラッキング法によって左房容積曲線を解析することによって明らかにした.僧帽弁口血流速波形および僧帽弁輪運動速波形は,左室拡張能を評価する指標として広く臨床に用いられているが,これらの波形には左房機能も少なからず関与していることを前提に考慮する必要があると考えられた.
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