研究概要 |
本研究の最終目的は,波長6.0μm光を用いた,侵襲度の低いレーザー治療器の実用化である.生体組織を切除する場合,その切除量は吸収係数μ_aによって決定される.切除量を術前に予想する場合,レーザー照射中の吸収係数を定量的に測定する必要がある.18年度に,吸収特性計測システムの構築を実施し,100℃以下の温度領域で生体組織の擬似サンプルである水の動的吸収特性を得ることに成功した。 19年度は,18年度に立ち上げた計測システムを用いて,以下の3つのことを主に行った。そして,6.0μm近傍の吸収特性変化は100℃以下では観測されず,100℃以上で顕著になることを明らかにした。しかしながら,計測用レーザー光源が短波長であったため,本研究の課題であった生体組織の吸収特性変化を定量することはできなかった。今後,レーザー光源を変えて同様の研究を継続する計画である。 (1)放射温度計による温度評価:レーザー照射中の温度上昇を定量するために,放射温度計測を立ち上げた。 (2)100℃以上の温度領域における水の吸収特性計測:6.0μm近傍において,100℃以下では吸収特性変化は観測されなかった。一方,100℃以上においてその変化が観測された。 (3)ゼラチン(生体擬似サンプル)の吸収特性計測:蛍光信号が強く,吸収特性を観測できなかった。計測用レーザー光源に長波長のレーザーを使用する必要がある。
|