研究概要 |
本研究は,筋不活動が骨格筋からの反射性循環調節に与える影響を明らかにし,循環調節を含めた不活動後のリハビリテーションプログラムの構築を目指すものである。今回の申請では次の2点に焦点を絞って研究を行った。(1)短期間の不活動によって筋量が変化しない場合でも筋内受容器の感受性変化あるいは循環中枢内での神経性変化などによって減弱するか,(2)筋萎縮が生じる長期間の筋不活動によって,骨格筋内受容器から生じる反射性循環応答は短期間の不活動の場合と比較してより減弱するかを明らかにする。 右側の靴底を補高した状態で松葉杖歩行を行い,左側の下肢を免荷状態にすることによって骨格筋を不活動にした。不活動1週間後,筋萎縮は起こらないが最大筋力は低下した。不活動1週間後の運動時心拍数,血圧応答は不活動前と比べて変化は見られなかった。運動終了後に運動肢を阻血して筋代謝受容器反射を調べたところ,不活動前と比べて変化はみられなかった。 不活動3週間後,筋萎縮と最大筋力低下が観察された。運動時の心拍血圧応答は,不活動前と比べて減弱した。また,筋代謝受容器反射によっておこる血圧上昇についても不活動前と比較して減弱した。 以上の結果から,筋量低下が生じない程度の短期間の骨格筋不活動では,筋代謝受容器反射は変化しないことが明らかになった。また,不活動期間が長く筋萎縮が生じると,筋代謝受容器反射によっておこる昇圧は減弱することが明らかになった。
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