研究概要 |
サプリメント中のモノグルタミル型葉酸は生体利用効率が高く、葉酸補充のために有効とされているが、急激な血中葉酸濃度の上昇には副作用も懸念される。昨年度実験結果で、高濃度葉酸添加時にみられた酸化ストレスの上昇がV.B_2との混合添加時に抑制されていたことから、今年度は異なるHcy濃度条件下における葉酸とV.B_2の相互作用について検討した。 方法 実験1:Hcy10,50,100μMの各濃度に対して葉酸をそれぞれ20,100,200μM添加したラット肝細胞を4時間培養。 実験2:実験1のHcyと葉酸の各濃度にリボフラビン(RF)2,10,20μMをさらに添加し、同様に培養。 各細胞上清を試料とし、Hcy濃度、酸化型・還元型グルタチオン(GSSG、GSH)濃度を測定。早期細胞傷害性をWST-1アッセイで検討。 結果・考察 実験1上清中Hcy濃度と酸化ストレス指標のGSSG/GSH比は、Hcy100μM・葉酸20μM添加で最も高値を示した。これに対し、Hcy10μM・葉酸200μM添加では上清中Hcyが約30%低値、GSSG/GSH比が約40%低値で、葉酸によるHcy低下と酸化ストレス抑制が確認された。 実験2Hcy10μM添加では、葉酸20,200μMとRF2,10μM添加による上清中Hcyに差がなかった。Hcy50,100μM添加時の上清中Hcyは、全ての葉酸添加濃度でRF濃度が高いほど低かった。また、Hcy添加濃度に関わらず、上清中Hcy、GSSG/GSH比およびWST-1は葉酸100μM,RF20μM添加時に最も低かった。 葉酸,RF濃度の組み合わせによって、高Hcyによる酸化ストレス、細胞傷害への影響が異なることが示唆された。
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