研究課題
若手研究(B)
本研究の目的は、算数と中学数学との乖離を乗り越える為に、それらを接続する理論的視点を明らかにするだけでなく、接続を実質的に実現する為の授業開発を行うことにある。本年度はまず算数から数学への移行を促す理論を開発する上での研究方法論を整備することから始めた。そして学校現場での比較的長期の授業研究の実施とその体系的分析から数学教育の理論的知見を抽出する方法論であるデザイン実験に注目し、文献研究を通してその位置と課題を明らかにした。[論文は全国数学教育学会誌「数学教育学研究」に掲載]次に、図形分野における移行教材となりうるものとして図形の相互関係をとりあげて、日本とイギリスの中学生の質問紙調査によるデータをもとにして、その理解過程を、共通概念経路という視点から統計的分析を通して明らかにした。[論文は数学教育心理国際会議論文集に掲載]さらに、小学校5年の小数除法と、中学1年の平面図形の単元について、算数から数学への移行の視点から授業をデザインし、授業実践を行い、それぞれについて分析を行った。[論文はいずれも日本数学教育学会数学教育論文発表会論文集に掲載]前者の小数の除法に関する論文では、崖の傾きを探究の場として、除法の意味を測定活動を通して一般化する活動が、中学の関数のグラフの認識につながりうることが示唆された。また後者の平面図形に関する論文では、図形の移動教材を教授学的状況論の視点から再構成したときに、特に図の認識の面において論証への接続がなされることが明らかになった。
すべて 2007 2006
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)
全国数学教育学会, 数学教育学研究 第13巻
ページ: 1-13
110009498579
J. Woo et. Al. (eds.), Proceedings of the 31st Conference of the International Group for the Psychology of Mathematics Education 第4巻
ページ: 41-48
Proceedings of the 30th Conference of the International Group for the Psychology of Mathematics Education 4
ページ: 257-264
日本数学教育学会,第39回数学教育論文発表会論文集
ページ: 23-24