研究概要 |
本年度は,開発を行った3次元塗り絵ツールを用いたヒューマンインターフェースの評価実験を行った。小学生から中学生を対象とした評価実験において,子供たちが学んだ古生物学を踏まえステゴサウルスとエウオプロケファルスの2種の皮膚再現を行い,3次元的に表現することができることを実証した。 また,実証実験から得られた検討項目として,カラーパレットの最適化が表出した。通常のアプリケーションソフトによるカラーパレットは,利用したい色を選択するという目的で作られており,高度な塗り絵を対象には設計がなされていない。また,画像編集ソフトなどの高度なアプリケーションで利用されているカラーパレットとなると,"色彩学"を学んでいない子どもには利用が困難なカラーパレットが用いられている。そこで,色認知の基礎的な被験者実験を行い。ユーザの色選択時の過程の分析および,目的の色の整合性という認知的な観点からの評価を行った。 まず,子ども用ソフトでは色選択が困難であるためクレヨンメタファが採用されていることが多いが,自由に色選択ができるスペクトラム形式のカラーパレットでも,使いやすさの観点で優劣が無いことが判明した。 次に,色選択・色再現における思考の分析実験を行った。色選択の実験では,指定色に近い色を選択する場合,的確な色が必要になる。一方で,高度な塗り絵における色選択では色に対するイメージがあっても,一意な色が決まっているわけではなく,イメージの色に近い近傍色があれば良いことがわかった。これは,目的の色の整合性と関係有ることがわかった。この事から,高度な塗り絵を目的としたカラーパレットの最適なインタフェースの機能を求めることができ,最適なカラーパレットについての提案を行った。
|