研究概要 |
1 講義におけるコミュニケーション支援を実現するために,オープンソースをベースに以下の点を考慮した支援システムを構築した. (1) 学生が発言しやすくなるように,発信するコンテンツの内容に応じた公開範囲の設定機能. (2) 学生の発言へのモチベーションを高めるために,被参照状況を確認できる機能. (3) 情報過多を防ぐために,各ユーザに適した情報のみをフィルタリングして配信する機能.なおフィルタリングのためのルールの主要な要素としては,(a)コンテンツの被参照回数と参照回数,(b)発言内容をカテゴライジング,(c)ユーザの行動履歴を活用し,講義申においても講義への集中に影響を与えにくいものとした. 2 構築した支援システムを実際の講義で活用し実証実験を行った.また,利用者へのアンケートを実施し,システムの有効性について検証した.この結果,本システムを活用した場合,通常の講義よりも学生の授業への関わり方を高めることが可能となり,さらに協調学習としての学生間コミュニケーションを効果的に行えるようになった.特に,講義の進度に遅れがちな学生と余裕のある学生とを動的にクラスタリングし,情報の配信を学生ごとに制御できるという特徴により,学生間での疑問解決を効率的に行うことができるようになった.このことは,講義の進捗度を向上させ,学生間の知識レベルにばらつきがある環境における教育の質を高めることを可能にした.
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