研究課題/領域番号 |
18700678
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
文化財科学
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研究機関 | 東北芸術工科大学 |
研究代表者 |
手代木 美穂 東北芸術工科大学, 文化財保存修復研究センター, 講師 (80323070)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2007年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2006年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 文化財 / 繊維 / 金属 / 腐食 / 劣化 / 変質 / 保存科学 / 非破壊分析 / 複合文化財 / 鉱物化 |
研究概要 |
出土複合素材遺物、特に金属製品と繊維(麻類・絹)が共存する遺物に対する保存処理方法の再検討および開発の一環として、I.日本において古来から利用されている布(麻類・絹)が埋蔵中において金属製品と共存して場合に、布の繊維自体にどのような変質機構を経ているのかについて解明、II.現在国内において展示・収蔵されている出土繊維遺物の調査からその変質課程が観察できるのかについて明らかにすること、の以上2点を目的とした。 Iの達成のために、『出土複合遺物を想定した実験』を行った。金属と繊維を一体化させた試料を恒温恒湿器内で劣化・変質の促進実験を行い、経時変化を追った。供する試料は金属片3種(JIS規格で定義されている鉄、銅、青銅、鉛の金属片)の直上に平絹2種(絹が精練および未精練のもの)、平織り麻類(素材はカラムシ)の組み合わせを作製して、温度20℃・相対湿渡90%に曝し、経過観察・実験試料の繊維の断面薄片を作製し、金属の錆がどのように影響しているかについて確認した。その際には調査専用実体顕微鏡を用い、的確な経過観察を追うことができた。結果、金属さびが繊維の無機成分と微小な電気的なイオン交換を行うことに、初期反応がすすむことが示唆された。IIの達成のために、『出土複合遺物(金属と繊維)の展示及び収蔵品の実地調査』を行った。古代期の北海道、東北、九州を中心とした地域の金属製品を調査し、非破壊調査として古代繊維の素材、糸の太さ、撚り方向、織密度を調査専用実体顕微鏡下で記録した。次に、第二段階として破壊調査や既往の結果との比較を行い、いづれの場合でも非破壊分析結果と明らかな相違があるものは見られなかった。
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