研究概要 |
本研究は,地震の再開間隔の算出が困難であるとされるB級活断層を対象として,変位基準となる河成段丘面の詳細編年に基づく活断層の活動性評価ならびに単位変位量の算出を行い,これらと巨大地震再来間隔・活断層のセグメンテーションなどとの関係について考察しようとするものである.平成18年度に実施した森本-富樫断層帯における沖積段丘面の掘削調査に続いて,平成19年度は富山平野西縁の呉羽山断層において同様の掘削調査を行った.しかしながら,呉羽山断層において予備調査を行ったところ,簡易ボーリングで断層の落差を把握することは困難であることが判明した.そこで,1回の地震の変位量がわかっているにもかかわらず過去数万年間の平均変位速度が判明していない邑知低地帯南縁の石動山断層において河成段丘面の編年調査を実施して,編年の指標となる良好な火山灰の試料を得ることができ,石動山断層が最近の約10万年間の間に繰り返し活動していることが判明した.これらの成果については今後公表していく予定である. また,北陸地方の活断層(火山灰稀産地域のB級活断層)の比較対象として,山形盆地西縁活断層帯における現地調査を実施したほか,2007年7月16日に発生した新潟県中越沖地震の際には,土木学会調査団の一員として現地調査を行い,主として斜面災害と活断層・活褶曲帯との関係に関する調査も実施した.
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