研究概要 |
平成19年度は、GEMs導入に伴う環境中の病原/有害微生物および一般微生物の微生物構造の変遷の評価を中心として、研究を実施した。 2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)模擬汚染土壌スラリーを作成し、フラスコサイズのマイクロコズムを構築して、ここに2,4-Dの部分分解遺伝子をコードしたプラスミドを保持した2,4-D分解菌Pseudomonas putida KT2440(pJP4)あるいはEscherichia coli HB101(pJP4)をモデルGEMsとして植種し、系内における微生物群集をT-RFLP法によって解析するとともに、病原微生物を、DNAマイクロアレイを用いて網羅的に検出、解析した。 T-RFLP法による微生物群集の解析の結果、実験開始直後は導入菌(モデルGEMs)に由来するT-RFが優占していたが、実験開始40日あるいは70日後には、モデルGEMs由来のT-RFは検出限界以下となり、モデルGEMsを導入していないコントロール系とほぼ同様の微生物群集構造となった。 また、DNAマイクロアレイを用いた病原微生物の検出、解析の結果、実験開始時には51種類の病原微生物が検出されたが、モデルGEMsを導入した系では、実験開始後20日あるいは70日後には、コントロール系に比べて、病原微生物が減少する傾向が確認された。 以上の結果より、GEMs導入による微生物生態系へ与える影響はほとんどないものと考えられ、また、病原微生物の増加に伴うバイオリスクの上昇の可能性は低いものと考えられた。
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