研究概要 |
1.乳癌とDNA修復酵素発現の関係を検討 申請者は,乳癌で乳房温存手術および腋窩リンパ節郭清を行った患者から血液を採取し,末梢リンパ球のDNA-PK(活性およびNBS1フォーカスを測定した所,非浸潤癌に比べて浸潤癌で,またリンパ節転移が陰性例よりも陽性例でDNA-PK活性が低く,フォーカス数が多いことが示された。この事より乳癌罹患リスクの推定だけでなく,発生した癌の臨床的悪性度の予測が可能であり特に腋窩リンパ節郭清を省略できる症例の選別が可能である事を示した。 (Oncology Reports 2007) 2.発生する癌の悪性度の推定 切除された乳癌組織を免疫染色法によってKu70/86タンパクの発現を計測した所,Ku70/86タンパク発現が低いほど組織学的悪性度が高く,腋窩リンパ節転移の要請率が高い傾向にある事が示された。これらの事より,Ku70/86などのDNA修復酵素の発現低下が癌罹患リスクの上昇,発生する癌の組織学的悪性度の上昇に関与している事が示された。 (Oncology Reports 2007)
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