研究概要 |
金ナノ粒子の局所プラズモン共鳴(LPR)や表面増強ラマン散乱(SERS)を用いた化学分析の高感度化を実現するために,最も大きな電場増強を示す粒子径60nmで粒子径分布の小さな金ナノ粒子を還元法により作製することを目的とした.そのため,マイクロポンプと混合用マイクロ流路を用いた脈動混合を2液に適用した.この手法により迅速な2液混合を行い,小さな粒子径分布の金ナノ粒子を作製する.研究成果を以下に示す. (1)脈動混合法の混合速度評価: 蛍光顕微鏡を用いて蛍光色素と純水の2液が混合する様子を観察し,混合速度を計算した.その結果,最短で95msecの混合が可能であり,混合速度をマイクロポンプの切替周波数により制御できることがわかった. (2)ポリマーマイクロ流路の設計・製作: ポリマー製の最適な混合流路形状を設計するために,流路内圧による流路変形を考慮することができる新しい電気等価回路解析モデルを構築した.このモデルにより,流路形状による流量や流れの応答性を正確に解析することができる. (3)脈動混合を用いた金ナノ粒子作製と粒子生成メカニズムの考察: 脈動混合により混合速度を制御し金ナノ粒子を作製した.(1)での混合速度と生成した粒子の粒子径・粒子径分布の関係から生成メカニズムについて考察を行った. (4)化学分析への応用の検討: LSPもしくはSERSを用いた化学分析に応用するために,金ナノ粒子の電場増強と消失スペクトルを有限差分領域法(FDTD)を用いて計算し,最適な構造を導出した.
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