研究課題
若手研究(B)
イネ科植物は根からムギネ酸を分泌することによって、アルカリ土壌で水不溶態となっている3価の鉄イオンをムギネ酸・鉄錯体として植物内に取り込むことが知られている。本研究では、この鉄欠乏耐性のメカニズムの分子レベルでの解明を目指し、トランスポータータンパクとムギネ酸・鉄錯体の結合様式を明らかとすることを主たる目的としていた。本研究を進めるにあたり、標識体を始めとする種々のムギネ酸類縁体が必要不可欠であることから、ムギネ酸類の効率的な合成法の確立は急務の課題であり、またその農業的利用や医薬品への応用も示唆されていることから、工業的にも利用可能なルートを構築する必要があった。そこで報告者はムギネ酸と同様の金属キレートカを有する2'-デオキシムギネ酸の効率的合成法の確立を目指し、市販のBoc-L-アリルグリシンを出発原料としてOne-Potで2'-デオキシムギネ酸の保護体に至る簡便な合成方法を確立した。これを基にムギネ酸の効率的合成法も確立し、種々のムギネ酸類での鉄の取り込み実験を行った結果、ムギネ酸の2'位水酸基が鉄の取り込みに影響を及ぼさない事を明らかにした。これまでに、ムギネ酸類に標識体を導入すると鉄との錯体を形成しなくなることが知られており、ムギネ酸類の標識化は30年来困難とされていた。これに対し、先の結果よりムギネ酸の2'位水酸基への標識体の導入の可能性が示唆されたことから、2'位水酸基への種々の置換基の導入を可能とするルートの検討を行い、2'位に置換基を導入しても鉄との錯体を形成することを明らかにした。これによりムギネ酸の標識部位が明らかとなったことから、トランスポーターとムギネ酸・鉄錯体との結合様式の解明も目前にあると考えられる。
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