研究課題/領域番号 |
18710193
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物分子科学
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
川谷 誠 理化学研究所, 長田抗生物質研究室, 協力研究員 (50391925)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2007年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2006年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 癌 / 骨転移 / 破骨細胞 / Methyl-gerfelin / Glyoxalase I / 分子標的治療薬 |
研究概要 |
癌骨転移の発症や進行には、破骨細胞による骨破壊が深く関与していることから、抗腫瘍活性と骨吸収阻害活性を併せ持つ薬剤は有用な癌骨転移治療薬になると考えられる。前年度までに、化合物スクリーニングによって、Methy1-gerfelin(M-GFN)が破骨細胞の分化を阻害することで破骨細胞の骨吸収機能を阻害することを見出した。 本年度はまず、M-GFNの細胞内標的分子の同定を試み、M-GFNアフィニティープローブや分子生物学的アプローチから、その細胞内標的分子がGlyoxalase I (GLO1)であることを明らかにした。さらに、M-GFNとGLO1の共結晶化に成功し、X線構造解析によってM-GFNのGLO1に対する結合様式を明らかにした。すなわち、M-GFNはGLO1の活性部位においてZnイオンとの配位結合を介して相互作用していた。 一方、骨転移を高率に引き起こすことが知られている肺がんなどでは、GLO1がしばしば過剰発現しており、それががんの悪性化や薬剤耐性に寄与していることが報告されている。さらに、そのようながん種においては、GLO1阻害剤が抗腫瘍効果を発揮する。実際、GLO1が過剰発現している肺がん細胞とそうでない肺がん細胞にM-GFNを処理したところ、M-GFNはGLO1過剰発現細胞選択的に細胞死を誘導した。 以上のことから、本研究において、M-GFNが破骨細胞の骨吸収を阻害することやGLO1過剰発現肺がん細胞に細胞死を誘導することを見出し、さらにその細胞内標的分子がGLO1であることを明らかにした。今後、GLO1の癌骨転移治療における分子標的としての妥当性を検証するとともに、M-GFNの癌骨転移治療薬としての開発が期待される。
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