研究課題/領域番号 |
18720007
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
哲学・倫理学
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
村上 靖彦 日本大学, 国際関係学部, 准教授 (30328679)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2007年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2006年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 現象学 / フッサール / レヴィナス / 自閉症 / 精神病理学 / アスペルガー傷害 / 発達障害 |
研究概要 |
本研究は、情動性と対人関係の構造を明らかにすることを理論的な目標とし、その上で自閉症の理解を進めるための学際的な研究を行うことを柱とした。 理論的には対人触発(後に名称を「視線触発」と改めた)の解析をフッサールの批判的検討、レヴィナスとサルトルおよび発達心理学の知見の現象学的な分析、という形で進めた。視線触発という契機は、もともとのフッサールの現象学には見られない現象であるため、これを導入することによって現象学の相貌は大きく変化する。また、情動性を中心として現学を再考すると、フッサールが記述した地殻構造とは質の異なる地平構造が見いだされる。これについてはレヴィナスの「誇張法」の概念を発展させ、対人関係の破綻という極限値の分析からその構造を明らかにした。その成果はすでに数本の論文で公表している。特にレヴィナスに関しては、20年度中に著書として公刊する予定である(仏語)。 自閉症研究に関しては、国立成育医療センターでのフィールドワークおよび医師や心理士の方々との共同研究を通じて得た知見を活用して、自閉症児の経験構造を「内側から」記述することを目指した。当初は視線触発と情動性を中心に分析していたのだが、結果として時空間構造の分析、遊びや言語の発達の分析、パニックの分析といった全体的な経験構造を明らかにする必要に迫られた。自閉症児と定型発達との差異が明らかになるに伴って、従来の現象学(定型発達の経験構造の分析)では見えしていなかった事象に光があたることになり、前述の現象学研究に大きく資するところがあった。その暫定的な成果は20年度中に著書として発表予定である。
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