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「彦火々出見尊絵巻」と「吉備大臣入唐絵巻」の制作目的について

研究課題

研究課題/領域番号 18720024
研究種目

若手研究(B)

配分区分補助金
研究分野 美学・美術史
研究機関東京大学

研究代表者

五月女 晴恵  東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教 (50401154)

研究期間 (年度) 2006 – 2007
研究課題ステータス 完了 (2007年度)
配分額 *注記
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2007年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2006年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
キーワード美術史学 / 院政期絵巻 / 日本中世史 / 説話文学 / 浄土経信仰 / 日本美術史 / 浄土信仰
研究概要

昨年度から取り組んでいる「彦火々出見尊絵巻」の制作目的に関する考察をさらに進め、同絵巻に見られる記紀神話との相違点の中に、龍宮から如意宝珠を持ち帰るという内容の大施太子本生譚と共通性が見出せることを確認。また、同絵巻に描かれた龍宮の情景が、閻魔王から米の湧く箱を授かるという内容の金剛山寺所蔵「矢田地蔵縁起絵」の閻魔王庁と極めて近似することを確認。さらには、同絵巻に描き込まれた龍宮の異形の者たちの姿が、比叡山横川中堂に始まる天台独自の脇侍形式を想起させることを確認。この天台独自の脇侍形式は円仁が唐から帰国する際の伝説に端を発しているが、円仁は唐から多くの舎利を持ち帰り、比叡山において日本で最初の舎利会を行ったことが知られる。そして、当時、流布していた経典類には、舎利と米とを同一視する記述や、舎利と如意宝珠とを同一視する記述が確認できる。これらのことから、「彦火々出見尊絵巻」の制作には、当時の如意宝珠信仰や舎利信仰が影響していることを立証した。
加えて、「彦火々出見尊絵巻」では龍宮は常に秋景に描かれるが、これは、龍宮には四方四季が備わっているとする当時の認識と一致しないことに気付く。同時代の「阿弥陀来迎図」においても、自然景を描き込む際には多くの場合に秋景が選択されているが、これは、阿弥陀の極楽浄土が西方にあることとの関係が考えられ、さらには、海上他界思想との関係も踏まえて、同絵巻の制作に当たっては浄土教信仰が強く意識されたことを立証した。
一方、「吉備大臣入唐絵巻」については、画面内容や紙継を詳細に分析した結果、近年提唱された現状にかなりの錯簡があるという説に同意するに至った。従って、長く優勢であった、この絵巻が、高楼→宮門→宮殿という情景の繰り返しによって構成されるという説は成り立たないという結論に達した。

報告書

(2件)
  • 2007 実績報告書
  • 2006 実績報告書
  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 「彦火々出見尊絵巻」の制作目的について

    • 著者名/発表者名
      五月女 晴恵
    • 雑誌名

      (未定)

    • 関連する報告書
      2006 実績報告書

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公開日: 2006-04-01   更新日: 2016-04-21  

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