研究課題/領域番号 |
18720029
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
美学・美術史
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研究機関 | 大東文化大学 |
研究代表者 |
水野 さや 大東文化大学, 国際関係学部, 講師 (10384695)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2007年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2006年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 八部衆 / 仏教美術 / 天王像 / 神王像 / 石窟 / 護法尊像 / 中国 / 韓国 / 阿修羅 / 竜 / 迦楼羅 / 乾閣婆 / 石仏 |
研究概要 |
中国における八部衆像の初期図像形成おいて、神王像の図像との影響関係があることはすでに指摘したが、神王像そのものの展開の過程において特にどの段階の図像が同化されやすいのかを中心に、河南省および河北省に残る作例の考察にあたった。神王像の服制は、俗形(長衣を着るもの)、天人形(上半身裸形で裙を着るもの)から、しだいに神将形(着甲するもの)が登場する。神格化するモティーフも、自然景物に由来するもの(岩・山・河・樹など)、神獣に由来するもの(竜・獅子・象・鳥・牛など)、自然現象に由来するもの(火・風など)が広く認められたが、「鳥」(鳥頭人身)、「獅子」(獅子冠)、「火」(火炎宝珠)、「風」(逆立つ髮の表現)、「樹」(樹木や宝珠)や「河」(大魚を担ぐ)などと、その他の特徴が曖昧な神将形神王像へと崩れが認められる。また、「竜」の独立して造像される傾向も強い。このような神王像の変化と照らし合わせると、初期の八部衆像に竜が含まれない場合がある、髪を逆立て宝珠や火炎宝珠を持物にする尊像がある、獅子冠をかぶる図像が初期から登場するなど、八部衆像の初期図像形成段階に与えた神王像の図像を限定することができよう。 また、八部衆像10世紀以降、仏・菩薩の守護神像としてはみられなくなる。そのため、陜西省の北宋石窟に認められる神将形護法尊像を収集することにより、いかにして八部衆像が姿を消すことになったのか考察に及んだ。中原において顕著なように、二天(梵天・帝釈天)・二王天向が多くあり、「四天王」という語句はあっても四尊が揃っているものは意外に限られている。あわせて、おそらく禅宗の影響により、伝統的な護法尊像の組み合わせへ回帰が作用し、一般的な神将像へと集約されていったと推測された。
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