研究概要 |
『非母語話者による日本語話し言葉コーパス』に収録された音声に対して印象評定を行うための評定対語を,以下の手続きにより策定した。 前年度行った,自由記述によって得られた評定語は数が多く,その妥当性も不明である。そのため,自由記述で得られた結果を元にして,印象評定対語を定めるための実験を行った。 まず,「評定対語抽出のための印象評定」を行った。これは,前年度作成した「聴取単位^*」を1つの刺激とし,各被験者個別に,PC上で評価を実施した。音声刺激は18,被験者は50名,質問項目は50,評定尺度は7段階とした。被験者ごとに刺激をランダムに提示し,評定語の提示順もランダムにした。つまり,被験者は非母語話者による日本語の音声を聞き,それについて「上手-下手」等の評定を7段階で行うのである。この実験,及び因子分析により,評定対語を20抽出した。 次に,これら20の評定対語の構造に安定性があるかを確認するための印象評定を行った。上記の実験方法と同様に行ったが,質問項目は前述の実験で得られた20項目とした。 これら2つの実験により20の評価対語が得られた。この評価対語の集合が,非母語話者による日本語話し言葉(モノローグ)を評価する尺度となり得ると考えられる。 *聴取単位:講演を,「講演の冒頭」「講演の中盤」「講演の終盤」に分け,その中から意味上のまとまりを持ち,文末表現で終わるように切り出したデータ。約1分。
|