研究課題/領域番号 |
18730107
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
政治学
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研究機関 | 長崎外国語大学 |
研究代表者 |
松本 充豊 長崎外国語大学, 外国語学部, 准教授 (00335415)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2007年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2006年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 台湾 / 民主化 / 民主主義 / ポピュリズム / 李登輝 / 陳水扁 / 新興民主主義国 |
研究概要 |
本年度は、第一に、ラテンアメリカやヨーロッパの各地域を対象にしたポピュリズム研究の成果を踏まえて、東アジアの新興民主主義国である台湾のポピュリズムを分析するための理論的な枠組みの構築を目指した。第二に、そうした枠組みをもとに、台湾の陳水扁政権下のポピュリズムを李登輝政権期と比較しながら実証的に考察した。 李登輝と陳水扁との比較を通じて明らかになったことは、前者のポピュリズムが統合的、調和的なものであったのに対し、後者は分裂的、対立的であったという特徴である。陳水扁が台湾アイデンティティを強調する方向へと戦略を転換したことで、彼のポピュリズムは分裂的、対立的なものへと変わり、両政権のパフォーマンスにも違いがもたらされた。陳水扁が、台湾アイデンティティの強い人々という「味方」と、そうでない人々や中国という「敵」の対立の構図を作り出したことで、台湾の政治構造は二極化し、社会は分裂の度合いを深めた。陳水扁が辞任の危機を回避できた背景にも、そうした戦略の効果と民進党をベースとした組織化された支持基盤の存在があったといえる。 研究成果の意義として指摘できることは、第一に、陳水扁のポピュリズムを、東アジア政治を席巻したポピュリズムの潮流の中に位置づけ、その興隆と衰退を明らかにしたことである。第二に、台湾における民主主義の「変容」の特徴を明らかにしたことである。台湾の民主主義がポピュリズムの色彩を強めたことは確かだが、政治制度の違い(ラテンアメリカ諸国は大統領制、台湾は半大統領制)から、G・オドーネルがいう「委任民主主義」へと「変容」したわけではなかったことが示された。
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