研究課題/領域番号 |
18730224
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
財政学・金融論
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
得田 雅章 滋賀大学, 経済学部, 准教授 (10366974)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2007年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2006年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 構造VAR / 内生的貨幣供給理論 / 流動性選好 / 金融イノベーション / 金融システム / 貨幣内生性 / 貨幣長期非中立性 / 貨幣需要 / VAR |
研究概要 |
(具体的内容) 本研究においては、貨幣と実体経済との関係を内生的貨幣供給理論のフレームワークから構築しつつ、各種ショックがそのフレームワークにどういった影響を及ぼし得るのかという問題に鑑み、実証分析を行った。 平成18年度は、郵便貯金残高を組み入れた実質貨幣と実質GDPの2変数構造VARに金融不安度を導入したモデルによる実証分析を行った。平成19年度は、主要マクロ変数である生産量、金利、マネーに、金融不安のインディケーターとしての役割を果たすと考えられる銀行業株価指数を加えた4変数構造VARモデルを構築し考察を行ってきた。 (意義) 2変数構造VARモデルを用いた分析結果から、マクロ経済変数の変動に関し、貨幣的変化がいつも均衡化への強い傾向を持つとは仮定できず、金融システムの不確実性に起因する、金融不安度というものを重視するに足る一定の成果を導き出した。 モデルを発展させた4変数構造VARモデルを用いた分析結果からは、富の資産間代替性の大きさ、およびベースマネーが期待利潤の代理変数として考えられる銀行業株価指数の減少関数として示された結果から、流動性選好の変動による影響度が大きいことがわかった。 (重要性) 分析結果より、ベースマネーは内生性の高い変数であると同時に、ベースマネーショックが期待と密接に関係している資産価格や所得に、必ずしも明確な影響を及ぼすものではないことを導き出した。これは表面的にマネーが増加したとしても、それは期待の低下による金融資産代替の結果として捉えることが可能なもので、経済成長を考える上で必ずしも好ましいものではないと言える。このことは2002年以降5年間にわたって継続された量的緩和政策の実効性を考える上で重要な結果である。また量的緩和政策に関連して、ゼロ金利やそれ以前の短期金利誘導による金融政策の限定的効果も厚かび上がってきた。
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