研究課題/領域番号 |
18730283
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
商学
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研究機関 | 関西外国語大学 |
研究代表者 |
醍醐 昌英 関西外国語大学, 外国語学部, 准教授 (10340746)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2007年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2006年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 線路使用料 / 上下分離 / 不可欠施設 / Network Rail / JR / EU指令 / 機会費用 / 交通経済学 |
研究概要 |
本研究は、鉄道事業における上下分離形態の事例を対象とし、交通機関間および交通事業者間の競争関係を考慮しつつ、線路施設の利用に際して列車運行事業者がどのような料金を負担することが適当であるかについて、経済学の観点から分析するものである。 平成19年度は、線路施設に関する使用料設定について長期的効率の観点から分析を行った。すなわち、既存事業者が所有する線路施設と並行および競合する施設を新規事業者が整備可能な場合について、線路施設に対する経済効率的な料金設定を考察した。 まず、EUの線路使用協定における投資インセンティブ規定について調査を行った。その結果、英国の事例から、線路所有会社と列車運行会社の間の線路使用協定のみでは投資が誘引されず、産業全体を政策対象とする交通省による資金面を含めた支援が必要となることが明らかとなった。その一方で、市場競争や設備投資の水準が異なるドイツおよびフランスの事例との比較検討から、英国のように線路所有事業をNetwork Rail社という非営利事業者に譲渡することは必ずしも必要でないことも明らかとなった。 また、昨年度に引き続き、線路使用料に関する経済理論を中心に、交通社会資本、中でも不可欠施設(エッセンシャル・ファシリティ)に対する賦課に対する内外の研究業績の検討を行った。そして、経済理論から導出された使用料設定方式をJR会社の間の線路使用協定に適用して線路使用料を推定し、機会費用と環境優位性をともに反映させた線路使用料であれば、鉄道貨物事業への適用は可能であるとの結論を得た。 本研究を通じて、英国の鉄道事業の効率化が一度の分割民営化の枠組で達成されるわけではなく、事後に生じた安全面の課題への対応など、長期にわたる試行錯誤を経て進められてきたことが改めて確認された。この産業組織の変遷と投資および安全の関係に関して、引続き研究を進める予定である。
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