研究課題/領域番号 |
18730322
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
社会学
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研究機関 | 愛知教育大学 |
研究代表者 |
足立 重和 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (80293736)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2007年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2006年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | タノモシ / 楽しみ / 郡上八幡 / ボラティアの論理 / 地域づくり / 再配分 / 社交 |
研究概要 |
今年度は、郡上八幡でのフィールドワークにもとづきながら、娯楽講としての頼母子(タノモシ)とはどのようなシステムであるのか、またそれが現代の地域づくりにおいてどのような意味をもつのか、を明らかにすることを目指した。 まず、郡上八幡におけるタノモシのシステムであるが、同級生・近隣などの"対等なヨコのつながり"をもとに、講員全員がもちよったタノモシ料を個々の講員に順番に回していくタイプと、そのタノモシ料を競って1番高い値をつけた者が(2番目に高値をつけた者の金額で)落札していくタイプがあった。現在、郡上八幡で多くをしめるのが前者だが、そうなった理由には、郡上八幡という小都市からくる歴史的な背景がある。戦前までのタノモシは、純粋に生活資金に困った人を助ける「人助け」のために結成され、タノモシ料を最後まで回すために講員全員をよせるしかけとしてセリなどの楽しみがあった。ところが、昭和40年代頃から、利子で儲ける高利貸し的な性格をもったタノモシや、お金が講員全員に行き渡らずに途中でつぶれるタノモシがしばしば現われたため、一人一人のもちよる掛け金が少ない、あくまでも講員全員の娯楽が前面に出るタノモシが主流となっていった。 このようなタノモシは、現在、講員相互の親睦という目的をもつにしたがい、定期的に親しい者同志が集う「飲み会」と化す傾向にある。だが、地域づくりなどの共同性・公共性をもった活動のためにタノモシが結成された場合、それに参加する人々は、自分たちの地域づくり活動への動機を「純粋に自己満足のため」と表現する。つまり、彼らの活動をささえる論理は、「公共性・無償性・自発性」といったボランタリズムとは一線を画しながら、自分たちの楽しみの追求が結果として地域づくりにつながるというものである。この点において、郡上八幡のタノモシは、新たなボランティアの論理の形成を可能にさせるのではないだろうか。
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