研究課題/領域番号 |
18730415
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
教育心理学
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研究機関 | 札幌国際大学 |
研究代表者 |
大野 俊和 札幌国際大学, 人文学部, 准教授 (70337088)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2007年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2006年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | いじめ / コメットメント問題 / 通報問題 / 被害者 / ドメスティックバイオレンス / コミットメント問題 / 教育系心理学 |
研究概要 |
いじめの被害者がその被害を通報する際に生じる不安を減少させるためには、通報が割に合うという期待を被害者に持たせることが重要である。しがし、通報が割に合うと期待させるためには、どのような制度の整備が必要なのだろうか。現状把握のため、いじめに身近に接する機会のあった者へのインタビュー調査ならびに質問紙調査を行ったところ、当時、いじめの被害者としていじめを経験した者の多くは、担任やその他の公的な機関に直接通報しておらず、通報した者も、その通報が割に合ったとは考えていないと解釈できる結果が示された。これと対照的に、教員は通報のあったいじめに関しては積極的に関与し、改善に繋がったと考えていると解釈できる結果が示された。この被害者と教員間での認識上の乖離は、教員の介入の過程が通報者には伝わりにくく、通報者の不満足は教員には伝わりにくいことを意味している。また、文献による検討から、通報が割に合うと期待させる形で制度を整備するためには、中立的な裁定の場が用意されていること、また、裁定にあたって、被害者にとって効果があると思える罰が用意されていること、そして、裁定にあたってのルールが明示化されていることが指摘された。この点に関して、再度インタビューによる検討を行った結果、いじめの場合では、理想的に裁定制度を導入した場合、いじめ加害者の冤罪という過誤が明確な形で生じてくることを考慮に入れておくこと、また、今日日常的に些細なケースまでがいじめという言葉で括られているため、全ケースを裁定で吟味するのは難しいこと、むしろ、深刻な被害者を見過ごす過誤はあれ、通報から一定期間様子を見て、なお続いている深刻なケースに優先的に介入する、ある種の前払いが現状に即していることが指摘された。これらのことは、制度の導入に先立ち、どちらの過誤を容認するかという意味で改めて社会的合意が必要になることを意味している。
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