研究概要 |
本研究の目的は、「食事ストレス」という観点からラットが予期しない大量の食物を摂取することが食物の好みや摂取量に及ぼすネガティブな効果を検討し、さらには活動性拒食症(activity anorexia)と呼ばれる現象の原因を解明することであった。特に、平成19年度は、活動性拒食症の手続きが、ラットの摂食行動のセッション内減少に及ぼす影響を通じて、その発生メカニズムを検討した。具体的には、実験群では1日1回1時間だけ、昨年度導入した回転車付スキナー箱において餌を与えた。その1時間のみ、ラットはNose Poke行動をする度に1粒の餌を得ることができ、またこの1時間の間は回転車にはブレーキがかけられ、走行することができなかった。1日の残りの時間はブレーキが解除され走行することができるが、餌は与えられなかった。水は常に自由に飲むことができた。統制群では1日中回転車にブレーキがかけられ走行することができない以外は実験群と同じ手続きであった。その結果、活動性拒食症の手続きは、ラットのNose Poke行動を通じた摂食行動のセッション内減少に影響を与えた。摂食のペース(単位時間あたりのNose Poke反応数)は、累積強化数の1次関数として記述することが可能であり、さらに、活動性拒食症の手続きはその回帰直線のy軸切片には影響を与えず、傾きを急にし、x軸切片の値を小さくした。この効果は、先行研究(Aoyama,2000)において明らかにされた、絶食時間を短くして空腹を弱めた効果と類似しており、摂食後の走行に基づく味覚嫌悪学習の効果(Aoyama,2007)とは異なっていた。
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