研究概要 |
本研究では,高等教育機関の英会話の授業において,聴覚障がい学生の情報保障として利用可能なシステムを試作・改良することを目的とした。平成19年度は,平成18年度に行った第1次試作機の改良をベースに,第2次試作機を試作した。第2次試作機は,(1)「学生の近くまで近寄って授業をしたい,健聴学生にはヒアリング指導を重視したい」という英会話担当講師のニーズを満たし,(2)「即応が求められる場面では従来のノートテイクを併用したい」という聴覚障がい学生のニーズを満たすために,IEEE 802.11gに準拠した無線LANを介して3台のノートパソコンでデータの送受信を行うシステムとした。講師用PCは,講師の発話をテキスト化し,ノートテイカー用PCと聴覚障がい学生用PCにテキストデータを送信する役割を担う。そのため,音声認識ソフトウエア(ScanSoft社製「Dragon Naturally Speaking Professional 2005」)と,ノートテイク専用ソフト「まあちゃん」をインストールした。ノートテイカー用PCは,(1)講師や受講生の言動・反応を文字化する,(2)講師用ノートパソコンで変換されたテキストデータを修正する,という2つの作業を担った。テキスト編集用にノートテイク専用ソフト「まあちゃん」を用いるとともに,キーボードに不慣れなノートテイカーが容易に文字化することができるよう,タッチパネル(ワコム社製液晶ペンタブレット「DTI-520Uモデル」)と用いた。聴覚障がい学生用PCには,ノートテイク専用ソフト「まあちゃん」をインストールすることで,講師用パソコンで変換されたテキストデータと,ノートテイカー用パソコンで入力されたテキストデータ,及び手書き入力された画像データを一つの画面に統合する機能を搭載した。
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