保育園に通う自閉症スペクトラム障害のある幼児(以下、ASD児)を対象に、対人・コミュニケーションの発達支援方法の一つである仲間を介した療育方法(Peer-Mediated Intervention)を実施し、その効果を検証した。ASD児と同じクラスの定型発達児に対人・コミュニケーションスキルを指導し、自由遊び時間にそれらのスキルを使用してASD児と関わるよう指示した。定型発達児の社会的行動の増加に伴い、ASD児の反応行動だけでなく自発的な社会的行動も増加する傾向がみられた。保育園の自由遊び時間のような比較的制約の少ない環境において、幼児期のASD児の仲間との社会的行動を促進する上で、仲間を介した療育方法が有効である可能性が示された。
|