研究課題/領域番号 |
18740050
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
数学一般(含確率論・統計数学)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
上田 肇一 京都大学, 数理解析研究所, 助教 (00378960)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2007年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2006年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 反応拡散系 / パルスダイナミクス / 遷移ダイナミクス |
研究概要 |
パルスダイナミクスにおいてみられる散乱パターンにおいて「分水嶺解」と呼ばれる不安定定常解が相空間における解軌道の振る舞いを特徴付ける本質的な存在であることが明らかになりつつある。しかし、反応拡散系でみられる様々な散乱パターン、特に時・空間非一様性によって引き起こされるパターンの特徴付けを統一的に扱うまでには至っておらず、その足がかりとなる研究を推進する必要がある。本年度は異なる非線形性を持つ2つの方程式を用いてパルスが非一様場を伝播する際にみられる散乱ダイナミクスについて研究を推進した。定常パルス解の複合分岐点近傍においてみられる現象に対して縮約理論を適用することによってパルスダイナミクスを常微分方程式によって表し、非一様性がパルスダイナミクスにどのように影響するかを調査した。バンプ型および周期関数型の場合において解析を行うことによってパルスダイナミクスが変化する際には不安定定常解(分水嶺解)が解軌道を分ける役割を果たすことを明らかにした。分岐点から遠いパラメータにおいてみられる現象、つまり非一様性によってパルスが大きく変形する現象に対しては数値実験によって解析を行い、非一様場によってパターンが変化する際にどのパターンが選択されるかは、分水嶺解から延びる不安定多様体の行き先によって特徴付けられることがわかった。さらに、複数の分水嶺解が現れる方程式においては解軌道が2つ以上分水嶺解の近くを通るようなパラメータで3種類以上の散乱ダイナミクスが見られることを発見した。これらの結果によって大域的分岐図に現れる複数の不安定解から延びる不安定多様体のネットワーク構造を解明することが散乱現象の理解において本質的であることを示唆することができた。
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