研究概要 |
交付申請書の研究目的1のPoisson変換像はRiemam対称空間G_R/K上の不変微分作用素の同時固有関数の空間A(G_R/K;λ)のG_R-部分空間であり,研究目的3の退化主系列表現はG_R/Kに対応する退化Hecke環HのCherednik方程式系の解空間A(H;λ)のH-部分空間である.研究目的4の"single-petaled K-type"は,もともと研究目的の1-3を同時に解決するための抽象的道具として考案されたものであったが,19年度の研究において,それが具体的なレベルで研究目的1と研究目的3を直接的に結びつける性質をもつことが示された.つまり,G_R/K上の関数に対する2種類の動径成分公式が得られ,その一方により,A(G_R/K;λ)内のsingle-petaled K-typeから,そこに属する関数の動径成分を取ることによりA(H;λ)内の対応するW-typeが得られること,また他方により,Poisson変換像を特徴付ける微分方程式系がsingle-petaled K-typeの不変性をもつとき,そこに属する微分作用素の動径成分がCherednik作用素になり, A(H;λ)内の退化主系列表現を特徴付けることが分かった(北大での連続講演[8/27-],日露共同研究ワークショップ[9/25],表現論シンポジウム[11/14]にて発表).これらは,Cherednik, Opdam等によるHの調和解析と長い歴史を持つG_R/K上の調和解析を直接結びつける結果で,重要と思われる.更にG_R/KがHermite型のときは,2種類の動径成分公式がG_R/K上の線束にまで拡張され, Hの調和解析と示野によるG_R/K上の線束に関する調和解析も結びつけられた(日本数学会年会にて発表[3/23]).
|