研究課題
若手研究(B)
平成18年度に製作したすばる望遠鏡主焦点カメラ専用の狭帯域フィルターを用いた赤方偏移3.1の銀河からの電離光子検出を目的とした観測を2007年9月に実施し、好天に恵まれ高品質のデータを取得することができた。このデータの解析を進め、これまでの研究をはるかに上回る10数天体から電離光子を検出することに成功した。これは、大型望遠鏡において類をみない広視野をもつすばる主焦点カメラと専用狭帯域フィルターによる電離光子探査という本研究の着想が極めて有効であることを実証するものである。なお、この検出数は過去の分光観測で赤方偏移が確定しているものであり、分光赤方偏移が未確定のものを含めると検出数はさらに増加する。現在この結果を速報するレター論文を準備中であり、近日中に投稿する予定である。統計的解析や検出天体の詳細な性質の分析などの研究を引き続き進めるとともに、検出天体の性質を明らかにする分光観測を提案しており、さらなる発展を期している。一方、ヨーロッパ南天天文台Very Large Telescopeでの電離光子検出観測も引き続き行った。2007年中に完了の予定であったが、サービス型観測のため予定期間中に完遂されず、2008年3月にさらに追加観測が行われて予定していたデータの取得が終了した。今後データ解析を行う予定である。また、より高赤方偏移の星形成銀河の性質に関する研究成果を出版するとともに、2007年7月のハイデルベルグでの研究会、および2007年12月の葉山での研究会という二つの国際研究会においてポスター発表を行った。このように、本研究で推進した、宇宙再電離において主要な役割を果たしたと考えられる高赤方偏移星形成銀河の研究は、世界的にも類例のない観測成果を得ることに成功しつつあり、今後さらに追究観測を進めることで宇宙再電離過程の理解に貢献するものと考えている。
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