宇宙を飛び交う高エネルギー(ギガ(10億)電子ボルトGeV=10^9eV以上)の放射線である「宇宙線」は、その発見からまもなく100年を迎えるが、未だその起源は解明されていない。宇宙線の起源を突き止め、また宇宙線はなぜ高いエネルギーを獲得するにいたったかを解明する上で決定的に重要なのが、宇宙線の原子核組成である。 これを研究するために、我々のグループでは高山での宇宙線観測を行っている(ボリビア・チャカルタヤ山観測所)。地球に到来した宇宙線(一次宇宙線)は大気と相互作用して「空気シャワー」を生成する。そして空気シャワーの大気中での発達は、一次宇宙線の核種に依存しているため、空気シャワーの精度良い観測により、宇宙線の原子核組成を測定することができる。本研究は、空気シャワー観測の精度向上のための大気モニタシステム開発を目的とするもので、レーザを大気中に射出し、その反射光を検出するLIDAR(Light Detection And Ranging)を製作し、空気シャワー実験との連動観測を行う。平成18年度の研究では、このLIDARシステムの開発を完了した。平成19年度の研究では、製作した装置一式およびソフトウェアを、実験を行うボリビアのチャカルタヤ山観測所へ装置を輸送し、実際の観測を行った。平成19年の8月から9月にかけ、月のない時期に観測を行ってデータ収集し、解析を行った。これによって、宇宙線観測時の大気をモニタしてその状態を知り、解析に反映させることが可能となった。
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