研究課題/領域番号 |
18740172
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物性Ⅰ
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
阿部 和多加 (長尾 和多加) 東北大学, 電気通信研究所, 助教 (00361197)
|
研究期間 (年度) |
2006 – 2007
|
研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
|
配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2007年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2006年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
|
キーワード | 第一原理計算 / 輸送 / 表面・界面 / 磁性 |
研究概要 |
フルホイスラー合金のひとつであるCo_2MnSiは、第一原理計算からハーフメタルであると予測されている。キュリー温度が985Kと高く、また規則的なL2_1構造が比較的作成しやすいなどの利点もあり、トンネル磁気抵抗素子への応用が試みられている物質の一つだ。本研究ではこのCo_2MnSiに注目し、Co_2MnSi/MgO/Co_2MnSi磁気トンネル接合の輸送特性を議論した。ハーフメタルをリードとした磁気トンネル接合の場合、通常の半無限リードを仮定した伝導計算は大きな困難を伴う。それは、界面ギャップ状態を介したスピン反転を考慮しない限り、反平行磁化での伝導が常に消えてしまうというものだ。本研究ではこの問題を便宜的に避けるため、Co_2MnSi/MgO多層膜を取り扱い、交流伝導度のω依存性からω→0の外挿値を見積もった。ここで、Co_2MnSi膜はハーフメタル性が現れない程度に薄く保たれており、界面ギャップ状態が十分伝導に寄与するような設定となっている。これにより反平行磁化での伝導が強調されるため、得られるトンネル磁気抵抗(TMR)比は、実際より過小評価された値になると考えられる。Co_2MnSi/MgOの界面パターンにはCo終端界面とMnSi終端界面があるが、その双方を調べた結果、Co終端界面では約200%、 MnSi終端界面では約300%のTMR比が期待できることが分かった。界面の形成エネルギーの解析によると、よりTMR比の高いMnSi終端界面が現れる可能性が高い。この手法がTMR比を過小評価していることも考え合わせると、Co_2MnSi/MgO/Co_2MnSi接合のTMR素子としての可能性は極めて大きいといえる。
|