研究課題/領域番号 |
18740207
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物性Ⅱ
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
井野 明洋 広島大学, 大学院・理学研究科, 助教 (60363040)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2007年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2006年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 銅酸化物高温超伝導体 / 角度分解光電子分光 / 電子構造 / 超伝導ギャップ / 準粒子散乱確率 / 放射光 / 高温超伝導 / 準粒子 |
研究概要 |
本研究は、低エネルギー放射光角度分解光電子分光法の高い分解能とバンド選択性を活用して、超伝導ギャップの大きさと準粒子微細構造を精密に決定し、高温超伝導状態において電子が受ける多体相互作用の詳細を明らかにすることを目的とする。本年度は、以下の通り研究課題を実施した。 (1)二重層同酸化物高温超電導体Bi2212体について、結合バンドと反結合バンドの二枚のフェルミ面を、全波数空間ではじめて完全に分解し、それぞれのバンドについて超伝導ギャップの方向依存性を詳細に決定した。ギャップのバンド依存性が小さいという実験結果は、対形成相互作用が両バンドで同等に作用していることを示唆している。また、超伝導ギャップの方向依存性がd波の理論曲線に従う領域が、ホール濃度の現象とともに急激に縮小することが明らかになった。この現象が、不足ドープ領域における超伝導転移温度低下に直接関係していると考えられる。さらに、ノード準粒子散乱確率のバンド依存性を観測し、結合バンドに比べ反結合バンドの散乱確率が高いことを明らかにした。これは、高温超伝導を阻害する散乱源が二重CuO_2面の外側にあることを示している。 (2)単層系銅酸化物高温超電導体Bi2201系について、元素置換によってCuO_2面外に乱れを導入したときの、電子状態の変化を直接観測した。面外乱れの増加とともに、ノード近傍の超伝導ギャップが閉じている領域が拡大し、一粒子散乱確率が急激に増大することを見いだした。これにより、面外不純物は電気抵抗などの輸送係数にはあまり影響を与えないが準粒子状態に強い衝撃を及ぼし超伝導転移温度が強く抑制されることが示された。
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