研究課題/領域番号 |
18740214
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物性Ⅱ
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研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
笠原 成 物質・材料研究機構, 超伝導材料センター, NIMSポスドク研究員 (10425556)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2007年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
2006年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
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キーワード | 充填スクッテルダイト化合物 / 時間反転対称性の破れ / 超伝導二段転移 / 局所磁化測定 / 充填スクッテルダイト |
研究概要 |
時間反転対称性の破れた超伝導状態を示す充填スクッテルダイト化合物PrOs_4Sb_<12>において、微小ホール素子法により試料表面における局所的な磁化を測定し、これによる自発的内部磁場の直接観測と、その空間分布に関する知見を得ることを目的とした実験を行なった。対象物質であるPrOs_4Sb_<12>は、Pr元素に基づく初の重い電子超伝導体であり、超伝導二段転移や秩序関数が内部自由度を伴った多重超伝導の可能性、超伝導状態そのものの発現により微弱な内部磁場を発生させる時間反転対称性の破れた超伝導等、数多くの特異な現象を示す。 本研究の第一の研究成果として、PrOs_4Sb_<12>の超伝導二段転移に関する知見を得たことが挙げられる。微小ホール素子を複数配列させた局所磁化の多点測定により、PrOs_4Sb_<12>では異なる転移温度を与える二つの相がミクロンスケールで不均一に分布していることが明らかになった。この起源としては希土類充填率の不完全性が考えられ、不完全な希土類充填率が存在するような試料内部では、本来の転移温度より高い超伝導転移が実現されている可能性が考えられる。第二の成果は、超伝導二段転移が明瞭に観測されるような試料表面においては、第一の超伝導転移直下より強磁性的な正の局所磁化が現れる場合があることを明らかにした点である。この局所磁化の異常は時間反転対称性の破れと関連すると考えられ、PrOs_4Sb_<12>における時間反転対称性の破れには、超伝導二段転移を与える高温相の存在が重要であることを示唆している。置換試料であるPr(Os_χRu_<1-χ>)_4Sb_<12>、並びに(Pr_<1-χ>La_χ)Os_4Sb_<12>では、超伝導二段転移と時間反転対称性の破れが観測される組成領域が全く同一であり、このことからも二つの特異な現象が密接に関連していることが示唆される。
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