研究課題
若手研究(B)
SPring-8からの高輝度放射光を用いた共鳴非弾性X線散乱(Resonant Inelastic X-ray Scattering,RIXS)という新しい分光法により、高温超伝導体をなどの強相関銅酸化物の電子励起状態を観測し、その電子構造を解明することを目的として研究を行った。1.La_2CuO_4におけるNi置換効果銅酸化物高温超伝導体は、Cuサイトをスピンの大きさの異なるNiやZnで置換すると急速に超伝導が失われることが知られている。BCS超伝導体における同位体効果と同様、置換効果の理解は重要である。これまでのNi置換効果の研究の多くはNiを磁性不純物として着目したものであったが、Ni置換は電子状態にも何らかの影響があると予想される。今回、RIXSの元素選択性を利用しLa_2Cu_<1-y>Ni_yO_4のy=0.05と0.95の測定を行うことで、Ni周りの電子状態を抽出することに成功した。2.辺共有一次元鎖Ca_<2+χ>Cu_5O_<10>における電荷秩序とその励起状態の観測ドープされたホールか電荷秩序を起こしているx=1.5,1.67において、電荷秩序の起源である長距離クーロンエネルギーを越えるものと考えられる励起が観測できた。この結果から、長距離クーロンエネルギーを含めた定量的な電子状態の議論が可能になる。3.Si結晶を使った分光アナライザー開発CuのK吸収端用としてSiの(553)反射を用いたアナライザーを作製し、性能の評価を行った。エネルギー分解能は現在使用しているGeの(733)反射を用いたものと同程度の450meVであったが、散乱角2θが小さいSi結晶では試料や検出器周りに空間が確保できるので、今後、偏光解析などの実験での利用が期待できる。
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