研究概要 |
平成19年度では前年度の研究結果をもとに,ランダム磁場0(N)スピン模型の臨界現象においてdimensional reductionが成立する条件,及びdimensional reductionが成立しないときの臨界現象についてより詳しく調べ,これらの研究からdimensional reductionの成立・不成立の機構について明らかにし,4<d<6におけるランダム磁場0(N)スピン模型の臨界現象について新しい知見を得ることが研究の目的であった。 これに対し,私は当初の計画通り,無限個のランダム異方性の項を含む非線形0(N)シグマ模型を取り扱い,非線形シグマ模型からくりこみ群の方法を用いて得られる2ループベータ関数を十分大きなMこ対して詳細に検討した。その結果,dimensional reductionの結果を与える固定点は十分大きなNでは安定で,したがって,少なくとも十分大きなNではdimensional reductionが成り立つことを明らかにした。 これらの結果を研究論文としてまとめ,Journal of Physics: Condensed Matterに投稿した。19巻14号に「Random field 0(N)spin model near four dimensions」というタイトルで掲載された。また,我々と同様に,ランダム磁場0(N)スピン模型の臨界現象について調べたLe DoussalとWieseの論文[P.Le Doussal and K. J. Wiese, Phys.Rev.Lett. 96,197202(2006)]では,十分大きいNにおいて,スピングラス様な磁性が出現することが示唆されたが,私は,その可能性がないこと指摘し,CommentをPhysical Review Lettersに投稿した。98巻26号に「Commet on"Random-Field Spin Models beyond 1 Loop: A Mechanism for Decreasing the Lower Critical Dimension"」というタイトルで掲載された。
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