研究課題/領域番号 |
18740289
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
気象・海洋物理・陸水学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
的場 澄人 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (30391163)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2007年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2006年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | アイスコア / 積雪の空隙 / ポストデポジショナルプロセス / エアロゾル / エアロゾル沈着 / 雪氷化学 / 積雪空隙内 |
研究概要 |
大気エアロゾルから積雪中の化学シグナルが形成される過程には、(1)降雪へのエアロゾルの取り込み過程、(2)積雪内での化学成分の移動と大気への放出、(3)積雪内での化学反応、(4)融雪をともなう化学成分の溶出と移動、(5)氷河流動による層序の擾乱、が挙げられる。本研究の目的は、これらの諸過程の中で(2)と(3)の過程と機構に着目し、積雪内での化学成分の挙動、存在形態を明らかにすることである。 北海道幌加内町母子里にある当研究所融雪観測室において積雪の空隙内の存在する化学成分の挙動を調べた。積雪内に金属パイプを陥入しポンプによって空隙内の空気を吸引し,空隙内のエアロゾル成分とガス成分をフィルター上に捕集した。また同時に積雪直上の大気中のエアロゾルとガス成分をフィルター上に捕集した。捕集した成分は、イオンクロマトグラフィーで化学成分の定量を行った。 その結果、昨年と同じように空隙内での存在が肯定的ではなかったエアロゾルが検出された。空隙内のエアロゾル濃度と大気中のエアロゾル濃度の変動は全く異なった挙動を示した。また、大気中のナトリウム濃度は10倍以上の変化を示したのに対し、空隙内のエアロゾルはほぼ一定の値を示した。このことから、空隙内から採取されたエアロゾルは、大気の影響を直接うけたものではなく、大気の変化とは独立して空隙内にエアロゾルが存在することが示唆された。また空隙内のエアロゾルは化学成分によっても挙動が異なった。これは温度や温度勾配の違いが化学成分の挙動の違いに現れたのではないかと推測される。 以上の結果から、積雪内の化学成分挙動を明らかにする重要性が確認され、今後のアイスコアの解釈のための研究の発展が大いに期待される。
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