研究課題
若手研究(B)
本研究では、報告者が第46次南極観測隊に参加して採取してきた東南極リュツォホルム湾地域の大理石やカルクシリケート岩、グラファイトを含む泥質岩など炭素を含む岩石から、炭素循環解明のための基本的な鉱物化学、同位体地球化学的データを得た。変成作用は、最高変成度の温度・圧力条件下で、水の分圧と酸素の分圧も共に低い条件であり、特にカルクシリケート岩の解析から超高温変成作用を被ったことが明らかとなった。また本研究では、後退変成作用において、流体の関与により中程度の水分圧に変化させたことを示す鉱物の反応関係を見っけた。さらに、チタナイトのSHRIMP年代の測定から、510-470Maという値が求められ、これはこの地域の地殻の上昇過程での冷却と後退的な流体流入イベントの起きた年代を示している。大理石を構成する方解石の炭素と酸素同位体、及び、グラファイトの炭素同位体の研究を推進した。方解石-グラファイト間の炭素同位体地質温度計を適用し、最高変成度の変成温度において両者が炭素同位体平衡に達していたことを明らかにした。大理石のストロンチウム同位体組成は、かなり幅広い同位体値〔0.758-0.705〕をとり、これは堆積物の変質に由来するものである。この変質は、大理石の変成作用発達での流体と岩石の相互作用で起きたことが考えられる。大理石中の方解石、ドロマイト、アパタイトから得られた微小スケールの炭素・酸素同位体、及び、ストロンチウム同位体比の測定は、ゴンドワナ超大陸の集積過程においてリュツォホルム複合岩帯の深部地殻で起きた異なる時期の流体と岩石の相互作用を識別するのに役立つことを示した。さらに、東西のゴンドワナ大陸間に存在した当時のモザンビーク海の石灰岩の堆積年代は、750-830Maの間であると推定される。
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