研究概要 |
近年,核融合実験装置内で発見されているカーボンダストは,トリチウムを吸蔵し装置内に残留するため問題視されているものの,不明な点が多い.本研究の目的は,申請者が開発したダイバータ模擬実験装置を用いて,軽水素および重水素プラズマとカーボン壁の相互作用により発生するカーボンナノダストへの水素吸蔵量を定量評価するとともに,カーボンナノダストの発生・成長に対する同位体効果を定量的に明らかにすることである.今年度は以下の成果を得た. 1. 重水素ヘリコンプラズマ・カーボン壁相互作用で生成されるダストは,球状,フレーク状,凝集形状に分けられ,凝集形状ダストの1次粒子はサイズが10nm程度にそろっている. 2. 1nm〜1μmのサイズのダストが多数存在し,サイズ分布はJunge分布である.この傾向は, LHDで補修されるダストと同じ傾向であった. 3. 1nm〜1μmのサイズのダストは総表面積の70%,総体積の50%を占める. モデル実験と比較する目的で,核融合実験炉におけるダスト生成・輸送について検証するために,核融合科学研究所のラージヘリカルデバイス(LHD)に多面体ホルダを設置し主放電中のダストのその場捕集を行った.ダイバータを見込む方向と主放電を見込む方向に設置した基板上には,球状ダスト,凝集形状ダスト,フレークが観察されたが,プラズマからの粒子を直接見こまない方向においた基板からは,フレークと堆積物のみが観察された.この結果は凝集形状ダストがプラズマ方向から輸送されてきた可能性を示唆する.
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