研究課題/領域番号 |
18750025
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
有機化学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
岩本 武明 東北大学, 大学院・きまは学研究科, 准教授 (70302081)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2007年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2006年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
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キーワード | 反転σ結合 / 高周期14族元素 / σ電子系 / 合成 / 反応 |
研究概要 |
昨年度、安定なビシクロ[1.1.0]テトラシラン-1,3-ジイルラジカルアニオンの合成単離に成功し、EPRおよびX線結晶構造解析で溶液および結晶中での構造を明らかにした。今年度はこの構造を詳細に理解するために温度可変EPRの測定および理論計算を行った。低温でのEPRスペクトルの形状は室温のものと変わらず、低温においてもビシクロテトラシランジイル骨格が対称性の高い構造を取っていることが明らかになった。すべてシリル基で置換したモデル化合物について理論計算を行ったところ、最適化構造は、EPRやX線構造解析で見られたC_<2h>対称の構造とは異っており、2つの橋頭位ケイ素上に電荷とスピンが局在化し、4員環がわずかに折れ曲がった非対称な構造であった。しかしながら、ケイ素骨格の対称性をC_<2h>に固定して最適化した場合の構造と最安定構造とのエネルギー差は極めて小さく、本質的には、この化合物は対称性の高い、スピンと電荷が2つの橋頭位ケイ素上の非局在化した構造を取るものと推定された。このように2中心3電子の反転ケイ素-ケイ素σ結合の性質を詳細に明らかにすることに成功した。以上の結果より、ビシクロテトラシランは剛直な構造をもつ1電子受容体として見ることができ、ビシクロテトラシランをユニットとした高分子が合成できれば高い電子受容性を示す物質になると予想される。またペンタシラ[1.1.1]プロペランの有用な前駆体となるオリゴシランの合成に成功した。
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